慢性腎不全になると、血中のカルシウム値が下がってきます
これは、
腎臓から出されているカルシウムを腸から吸収させるホルモン(活性型ビタミンD(1,25(OH)2D))の分泌が減ることが原因。
透析患者の血清カルシウム値
透析患者さんの血清カルシウム値は
8.4~10.0mg/dL
の間でコントロールする必要があります。
また、透析患者さんはアルブミン量が少ない場合があるので、
補正カルシウム値で見る必要があります。
補正カルシウムとは
補正カルシウムはアルブミン値が4g/dL以下の場合に用いる式
補正カルシウム=Ca値(mg/dL)+4-Alb(g/dL)
になります。
補正式はこれ以外にもいろいろあるみたいですが、シンプルな式で使いやすいのがこれということで、
普及しているみたいですね。
透析患者のカルシウム値を上げるには
腎不全によって、活性型ビタミンD3の産生ができなくなった場合、
どのように、血清カルシウム濃度を上げるのか?
一般的なのが、活性型ビタミンD3製剤を使用
ですね。
活性型ビタミンD3製剤としては、
マキサカルシトールやカルシトリオールという注射
アルファカルシドールド等の内服薬
になりますね。
これ以外に、影響してくるものが透析液のカルシウム濃度になります
以前まではカルシウム濃度が高い透析液を使用している施設が多かったのですが、
今ではラインナップも増えて、カルシウム濃度が低めの透析液を利用している施設が多いようです。
患者ごとのカルシウム濃度は違いますし、中には、ビタミンD3製剤を使っていない患者さんもいるくらいです。
その中で、透析液のカルシウム濃度が高いと、患者個々のカルシウム濃度のコントロールが難しくなるイメージですね。
なので、低めの濃度にして、足りない分を薬剤で補う感じですね。
ちなみに各透析液のカルシウム濃度はこんな感じになっています
透析液種類 | カルシウム濃度[mEq/L] |
カーボスター | 3.0 |
キンダリー1号 | 3.5 |
キンダリー2号 | 3.0 |
キンダリー3号 | 2.5 |
キンダリー4号 | 2.75 |
キンダリー5号 | 2.6 |
リンパック TA1 | 2.5 |
リンパック TA3 | 3.0 |
当院ではリンパックTA3 を使用しているのですが、
リンパックTA1ではナトリウム濃度が若干低いのでこれがネックでTA3尾選んでいます。
この辺に関しては、医師の判断になりますが・・・
脱線しますが、最近では扶桑薬品からキンダリー5号が登場しました。
こちらはマグネシウム濃度に焦点を当てたタイプ。
カルシウム濃度は2.6mEq/Lと今までない濃度にもなっているので、
気になるところですね。
透析患者の血清カルシウム値はリンと関りが深い
前回は透析患者さんのリンの値に関してで、今回はカルシウムです
この2つ
とても関連が強いです(>_<)
そして、
高リン血症がサイレントキラーと呼ばれるのも、カルシウムと仲がいいからになります。
そして、最後に紹介するi-PTH(血清インタクトPTH)も重要になってきます。
この3つの値はそれぞれ影響しあっているので、
どれか一つだけを理解するということはできません。
覚えるときには3つを関連付けて覚えるのが一番理解しやすいですね(・∀・)b
高リン血症によって低カルシウム血症をきたし、その状態が続くと、
二次性副甲状腺機能亢進症に・・・
そして、異所性石灰化が促進され様々な症状がでて、骨までボロボロに・・・
これが症状なく進んでいくんです。
腎不全になり始めたころから、この流れはできているので、
早めの対処が必要になるということですね。
i-PTHや二次性副甲状腺機能亢進症、異所性石灰化等に関しては別の機会で、一つずつまとめたいと思います。
まとめ
今回は透析患者さんの低カルシウム血症に関してでした。
低カルシウム血症というよりも、腎不全により、カルシウム値が下がるまでですね。
腎不全で活性型ビタミンDの生成ができなくなると、
腸からのカルシウム吸収量が減少。その結果、低カルシウム血症になります。
対応策としては
活性型ビタミンD3製剤の投与や内服になります。
低カルシウム血症の状態が続くことで様々なトラブルを惹起させる結果になるので早めの対応が必要になりますね。