人工血管の静止静脈圧

臨床工学技士業務関連

透析患者さんのシャント

内シャント外シャント

内シャントの中には自分の血管を用いるもの(AVF)

人工血管を用いるもの(AVG)

さらに、

長期留置カテーテルや表在化

と、多岐にわたります

透析患者さんのシャントに関してはこちらでもまとめているので

参考に⇒透析患者のシャント

 

で、今回は人工血管を使ったシャントの管理に用いる

人工血管の静的静脈圧に関してです

静的静脈圧を測定する目的

そもそも何で静的静脈圧を測定するのか?

簡単に言えば、

シャントの狭窄を発見するためのもの

シャント管理です

 

内シャントの中でも人工血管を用いてシャントを作るAVGには

色々なつなぎ方があります

『ストレート型』『カーブ型』『ループ型』

その中でも、

ループ型の人工血管シャントの管理の一つとして、

静的静脈圧の測定が推奨されているようです

 

というのも、

今回、初めてループ型のシャントを作成した患者さんがいて、

Dr.より「関連施設では静的静脈圧を測定しているから、うちでも測定ね」

と。

 

静的静脈圧を測定することは知っていましたが、実際に測定したことがありません(^^;)

それに、

今ではエコーの機械もコンパクトでいいものがたくさんでいているので、

それで管理することがほとんど・・・

でも、言われたからには取り合えず測定して、機会を伺って、

無くしていきたいと思っています(^^;)

人工血管シャントの静的静脈圧の測定方法

推奨されている測定方法は

『2011年版 慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作成及び修復に関するガイドライン』に明記されています。

抜粋すると・・・

回路内が血液に置き換わった時点で血液ポンプを停止する。

静脈チャンバーとダイアライザーの間をクランプする。

30秒後に安定した静脈圧を静的静脈圧として記録。

ということ。

なんとも煩雑に書かれています(^^;)

 

これの問題点は高さが明記されていませんね(^^;)

本当の静脈圧を測定するのなら、透析患者さんの腕の高さに、V側チャンバーの液面を合わせる必要があると思います。

ただ、

この静的静脈圧の測定目的は、V側流出部の狭窄の有無を調べるため。

つまり、基準値よりも圧がどれだけ変化しているか?を観察することが重要だと思います。

 

だから、このガイドラインに高さの決まりがないのかもしれません・・・知らんけど(;’∀’)

静的静脈圧を測定する意義

そもそもなんで、静的静脈圧を測定する必要があるのか?

人工血管の内シャントでは

V側の流出部の狭窄が頻発します

 

狭窄が起こることにより、

人工血管内の静脈圧が上昇するというのを

可視化させるための方法が静的静脈圧の測定になります。

 

透析患者さんにとって、シャントはとても大切なもの。

完全に閉塞して、シャントを作り直す・・・なんてことになったら、入院日数も増えて負担が大きい

早期発見して、シャントPTAを適切なタイミングで行ってもらおう!!

ということですね(・∀・)b

 

これを聞いたら、測定する意義もあるかもしれない・・・

と思う人もいるかもしれませんが・・・

静的静脈圧の測定の問題点・疑問点

とにかく、測定する手技が煩雑です

毎回同じ高さに合わせる必要もありますし、

液面も同じでなければ誤差になります。

そして何より、

超音波エコーが良くなっている今、わざわざ測定する必要があるのか?

超音波エコーなら実際に血管を見ることができるので、確実ですからね(>_<)

 

という、問題点や疑問点もあります

 

また、静的静脈圧ではなく、

動的静脈圧、いわゆる、一般的に測定している静脈圧の変化を見ればいいのでは?

と、思います。

もちろん静的静脈圧と違い、動的静脈圧は穿刺の向きや針の太さ、血栓等の影響を受けます

とはいえ、今日明日の変化を見るのではなく、長期的にどうなっているのか?

を判断することができればいいと思うので、動的静脈圧でも問題ないのでは?

なんて思ってしまいます(^^;)

こればかりは、考え方なのかもしれませんが・・・

ということで、まとめです

まとめ

人工血管のシャント。特に、ループ型で作成されている人工血管の管理の一つとして、

静的静脈圧の測定が推奨されています。

が、

これが推奨されているガイドラインが2011年のもの。

すでに10年以上前のガイドラインなので、

これを遵守する必要があるのか?

という疑問があります。

 

ただ、狭窄判断の指標の一つになることは間違いないと思います。

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