透析患者のばね指

臨床工学技士業務関連

ばね指

透析アミロイドーシスで話題になる一つですね。

以前紹介した手根管症候群や肩関節症もその一つ。

長年透析をされている人には大きな悩みの種の一つになります。

生活にも支障をきたす恐れがありますから(>_<)

ちなみに、ばね指は『弾撥指(だんぱつ)』なんて難しい呼び方もするそうですが、ばね指が解りやすいですね(・∀・)b

 

・原因はアミロイドの蓄積

・症状は指の曲げ伸ばしのしにくさ。ばねの様に弾んで指が伸びるのが特徴

・治療は手術

 

それぞれを簡単に見ていきます。

透析患者のばね指の概要

『アミロイドの蓄積』

これですね(>_<)

透析アミロイドーシスは長期透析患者さんの大きな悩みの一つです。

↑この部分に発症することが多いみたいです。

透析の質も良くなり、今20年目の人と、これから20年透析する人で発症するリスクは違ってくるかもですが、

長期透析患者さんの一定数はこれからも透析アミロイドーシスに悩まされるでしょう(>_<)

透析アミロイドーシスの原因

簡単に説明すると・・・

『透析不足』

ですね(^^;)

大きな原因は『β2ミクログロブリン(β2‐MG)』になります

本来は腎臓で処理されるβ2‐MGですが、慢性腎臓病(CKD)になると、処理することができなくなり、

体内に蓄積することが原因になります。

 

厄介なのがこのβ2‐MGは分子量11800のたんぱく質で、透析では処理しにくい大きさ(>_<)だから、透析患者さんの体に蓄積されてい、透析アミロイドーシスになってしまいます。

β2‐MGがアミロイドの前駆体ことなので、

『β2‐MGが体内に蓄積される=アミロイドの蓄積』

となり、透析アミロイドーシスになります。

今ではon-lineHDFが主流になったり、ダイアライザーの性能も格段に上がっているので、ある程度の除去が可能になっています。

とはいえ、体内での産生量が多ければ除去量が追い付かず、結局のところ透析アミロイドーシスになることを防ぐことはできません。

 

体に2つあるそら豆型をした腎臓の役割はとてつもなく大きいものだということを実感しますね(>_<)

透析患者のばね指の原因

ばね指の原因は

指には指を曲げ伸ばしする『腱(屈筋腱)』というものがあります。

この腱は『腱鞘』と呼ばれる、土管のような筒の中を通っています。

腱鞘の中にアミロイドが蓄積し、十分な隙間があった腱鞘を狭めることで、

その中を通っている腱の滑りが悪くなったり、引っかかったりするのが原因になります。

 

名前の由来になっているばねですが、

伸ばすのに力が必要になり、その反動でばねの様にいきなり伸びるので

ばね指なんて呼ばれ方をしています

この動画が解りやすいです

まさにバネです!!

 

ちなみに、透析患者でなくてもばね指にはなり、

この原因の多くは炎症になります。

手首の炎症で腱鞘炎と呼ばれるのは多くの人が知っていると思いますが、これが指の関節に起こったものがばね指。

こちらは、指の付け根を押すと痛かったり、腫れたり、熱を持ったりします。

 

透析患者さんの場合は、腱鞘の炎症ではなく、アミロイドの沈着により、筒の中が狭くなることで、そのに腱が引っかかってしまうのが原因になりますね。

透析患者のばね指の症状

・指を伸ばすときに引っかかる(弾撥現象)

・曲がったまま伸びなくなる

この2つが主な症状。

透析をしていない人がなるばね指では腱鞘炎なので痛みがありますが、透析患者さんのばね指では痛みを伴うことがほとんどない場合が多いです。

そして、長期透析をされている人

というのも一つのパラメーターになると思います。

透析患者のばね指の治療

手術

これですね(↑こんなに大げさではありません(-_-;))

手根管症候群と同じように、腱鞘を切り開く必要があります。

それほど大きな手術ではなく、

指の関節部分に小さな傷ができるくらいの手術になります。

 

どうしても、原因が腱鞘の中が狭くなること。

この原因物質をかき出せばいいのかもしれませんが、

もとが狭い。そこに、蓄積物が溜まったらかき出すことはほとんど不可能。

手根管症候群の場合、再発防止を兼ねて、腱鞘の蓄積物をかき出したりしますが、ばね指ではしないことがほとんどみたいですね。

まとめ

透析患者さんのばね指に関してでした。

・原因はアミロイドの蓄積

・症状は指の曲げ伸ばしのしにくさ。ばねの様に弾んで指が伸びるのが特徴

・治療は手術

 

アミロイドの蓄積によるばね指は時間が解決してくれる問題ではありません。

日常生活に支障が出るほどの場合は、手術で治すのも一つの方法ですね(・∀・)b

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